研究概要

主な研究テーマ  
 ナノ構造物質の物性の実験的研究。三次元的に配列した金属クラスターなどの新しいナノ構造物質を作成し,相関電子系としての性質を,光・磁性・磁気共鳴などの様々な測定法により研究している.

研究目的
 従来にないタイプのナノ構造物質を作成し,物性物理学の新しい舞台を開拓する.

主な研究内容

(1)配列したアルカリ金属ナノクラスターにおける相関s電子系(中野・荒木・野末)
 多孔質結晶のゼオライトを用いてナノクラスターが三次元的に配列した系を作成し,その性質を広帯域分光,磁気測定,電子スピン共鳴などの様々な測定法により研究しています。ゼオライト結晶の一種A(LTA構造)では内径 11Åの細孔が単純立方構造で配列しています。その孔にゲスト物質としてアルカリ金属を導入すると,そのs電子は孔全体に広がり,細孔内に形成される1s, 1p, 1d などの量子準位を順に占有してスーパーアトムを形成します。そのs電子は細孔の窓を通じて隣接するスーパーアトムのs電子と相互作用を持ちます。その結果,強磁性などのように,導入元素からは想像できない相関電子系の新奇な性質が観測されます。特に,1p や1d 準位などの縮退軌道を占有した電子が,新奇な性質の発現に重要な役割を担っていることが明らかになってきました。ゼオライト結晶には多くの種類があり,その配列ナノ空間と様々なゲスト物質を組み合わせることによって新しいナノ構造物質を作成し,それらを舞台にした多彩なナノサイエンスの開拓を目指しています。

(2)μSRを用いたアルカリ金属クラスターの研究(中野・野末)
 理研RALと共同して,ゼオライト中のアルカリ金属クラスターのμSR測定をおこない,局所磁場分布とそのダイナミクスの研究を行っています。

(3)圧入法を用いたアルカリ金属ナノクラスターの作成と磁性(荒木・野末)
 多孔質結晶のゼオライトに圧力をかけてアルカリ金属を吸蔵させると,クラスター当たりのs電子数をさらに増加させることができる。この方法を用いて作成したクラスターの新しい磁性を開拓しています。

(4)半導体界面の2次元電子系の物性(鷹岡)
 半導体界面の2次元電子系では,低温強磁場において観測されるサイクロトロン共鳴現象を遠赤外磁気フーリエ分光で詳しく解明しています。

主要施設
 研究室が管理している装置としては,紫外可視近赤外分光光度計,FTIR顕微分光装置,遠赤外磁気フーリエ分光装置,レーザーラマン分光装置,SQUID磁気測定装置,電子スピン共鳴装置,比熱測定装置,極低温・強磁場量子伝導測定装置,微細加工用走査型電子顕微鏡/走査型プローブ顕微鏡などがある。学内外のその他の施設(RIKEN-RAL,JASRI/SPring-8)も利用している.

研究協力
 理化学研究所理研RALミュオン施設),高輝度光科学研究センター(JASRI/SPring-8),東京大学物性研究所,大阪大学の極限量子科学研究センターとも協力して研究を行っている.